生産設備、償却期間短縮
政府は企業の法人税負担の軽減策として、生産設備の税制上の償却期間を短縮する検討に入る。償却期間中は毎年損金として計上できる金額を増やしてその年の税負担を軽くするとともに、新たな設備投資を促すもの。
2007年度の減価償却制度見直しを視野に、液晶などハイテク分野の新規投資分から適用する案が有力です。また設備投資額の全額を損金に計上できる仕組みも導入する考え。経済活性化税制の柱と位置付けて安倍政権が掲げる成長路線を後押しする目的があるようです。
日本の減価償却制度は税法上の償却期間(法定耐用年数)を機械の種類ごとに規定。企業が機械などを購入した場合に時間の経過とともに資産価値が目減りする分を毎年どのくらい損金に計上できるか決める仕組みをとっています。
償却期間が長いと年ごとに計上できる損金額は少なくなり、毎年の税負担が重くなる。日本では1960年代以降ほとんど見直しが行われておらず、主要な機械設備の平均は10年間と国際水準よりもかなり長い。このため財務省と経済産業省などが来月にも政府案のとりまとめに入るもの。
見直しの中心となるのは技術革新が急速に進み、生産設備を頻繁に更新する必要があるハイテク分野。現在、液晶や半導体の生産設備の税法上の償却期間は8−10年だが、「製品サイクルが早く技術進歩も著しいため、5年程度で装置を入れ替える」(液晶パネル大手)。こうした実態に合わせ、アジア諸国並みの5年以下への短縮を検討するもの。
期間を短縮しても、設備ごとの累計の損失額は変わらず、中長期的にみれば減税効果は大きくはない。だが、償却期間中は毎年の損金計上額が増えるので、新規投資額が多い企業ほど法人税の圧縮効果が大きくなる。企業の投資意欲が高まって設備更新が加速すれば、国際競争力も向上する。
償却期間の短縮と併せ、政府は投資額の全額損金計上も検討する。現行では設備投資額の累計95%までしか損金計上を認めていない。欧米・アジアでは全額を損金にできるのが主流で、産業界などから全額計上を求める声が強まっていました。
税制改正案は11月上旬の政府税制調査会(首相の諮問機関)で議論し、年末の与党税制調査会で具体的な枠組みや改正時期を決める。企業の2007年度決算からの適用を目指すが、税制改革全体を巡る調整で結論が先送りされる可能性もある。
全額損金計上を中心にした減税額は、対象設備を新規投資分などに絞り込めば1000億−2000億円、既存設備まで含めると5000億円超になるとの試算があり、原資をどう確保するかも課題。法人税の自然増収分を充てる構想が取りざたされるが、「財政健全化に逆行する」との声も政府内にあり、実施時期などを巡って議論の曲折も予想される。