Top > 08景気動向 > 所得の地域格差

日本経済新聞によりますと都市圏と地方圏といった地域間の所得格差は、広がっていないとの論評が公表されました。

 例えば、不平等の度合いを示すジニ係数を都道府県1人当たり所得のべースで作成すると、水準自体はかなり低いほか、1人当たり民間需要を指標にすると拡大は生じていない。また、1人当たり所得水準の格差をみても、横ばい圏内の動きにとどまっており、所得格差の拡大はない。

 所得偏在の典型とされる東京都を例にみても、県民総生産・人口ともにシェアは高いがピーク時よりも低下。他方、近隣3県を含めた首都圏への人口集積は着実に続いているが、県民総生産は3割を上回るとはいえ緩やかな変化に留まる。首都圏には従業者の他に、学生や高齢者などの非労働力人口も流入していることを表している。

 東京都および首都圏の経済活動に占めるシェアは、人口集中を主因として発生しており、近年になり1人当たりの折醇水準ないし生産性が上昇して生じたわけではない。また、民間金融機関の預金・貸出総額に占める東京都および首都圏のシェアは一時に比べて明確に低くなっている。これも所得集中が生じていない1つの証しであろう。

としています。

 格差拡大論の背景には、政府の改革路線を所得水準の低いフリーター層の増加と結び付けて批判する考えが底流にある。もっとも、こうした層の増加には、小泉内閣以前の90年代以降に生じたグローバル化や情報通信技術革新によって、企業の生産様式が変化してきたことの影響が大きい。

 現状の所得格差が大きいことについては、現実の厳しさから目をそむけた安楽な生き方を良しとする風潮が強まったことや、財政面で地方が国に頼りすぎ、国の支援も必ずしも実情にあわない画一的な面があることを反省すべきである。改革を後戻りさせても、国全体の経済構造の劣化を引さ起こすにすぎない。

 格差の存在は社会の活力を維持するためにも必要ではないか。重要なのは最低限の保障の他には、長期的な視野に立った人材の確保・企業の育成、あるいは経済特区制度の活用や地方への権限移譲などをテコとした地域経済の活性化の推進であろう。


論評では格差を肯定しかつ、地方への権限委譲をとりあげています